会員広場

寄り添うつながりが結ぶ春の喜び

 コロナ禍で今迄のように教会に集うことがままならない中、私は自分の出来ることで一人ひとりの心に寄りそっていきたいと思って日々を過ごしてきました。今年に入り北陸全体が大雪に見舞われて、大きな爪痕を残しました。
 ある日、70代の一人暮らしのSさんから電話がありました。「庭の梅の木が積雪の為、折れたのでシルバー(造園)にお願いしたら冬場は休業していて困っている。折れた枝にはたくさんの芽が出ていて、とうてい枝を始末することはできない。なんとか折れた枝を元の木に付けられたらいいと思うから、見に来てくれないか」と悲痛な声でした。
 Sさんは、ガーデニングや手芸など気丈に毎日を過ごしておられて、毎月の会長先生の佼成ご法話を大事に拝読されています。そんなSさんが電話をしてくるとは、よほど困っていると察せられました。また、「芽吹いている枝を切り取ることは辛い」と言われた奥の心、命の尊さを大事に思っているSさんの仏性が私の心に響いてきました。
 男手が必要と思い、主人にお願いしてSさん宅に行きました。民生委員の方も来ておられ「私たち女二人ではどうにもならんわ。なんとかならないか」と言われ、さっそく主人は、はしごにのぼり、私は塀にのぼり、枝を上げ、縄でくくり、裂けた枝を四人で力一杯、何回も引っぱり上げました。縄でぐるぐる巻き、どうにか元の木にくくり付けることができましたが、折れた枝が息付くかはわかりませんが、Sさんは安心した様子で喜んでくれました。
 このことの出逢いは、コロナ禍に加えて大雪の被害など悪条件が重なった中での出来事でしたが、私が“いつでも すぐに よろこび”を感じる触れ合いができた、有り難いご縁でした。

南星支部 佐々木 啓予