教会長の言葉

「華だより」

2021.11.18
  『私たちの選択肢』

 「この世の中は思いのままにならないもの」➖生まれる時に親を思いのままに選べなかった。男になるか女になるかも選択できなかった。
 身体の元気な若い頃は可能性が広がっているように感じるが、年を重ねるにつれて出来ることの選択肢は失われていく➖こんな感傷に浸ることが誰しもあると思います。私もです。
昨日の富山新聞「今日の言葉」に作家の山田詠美さんの言葉が紹介されていました。
 詠美(エイミー)さんがため息をついた時、傍にいた姪が「エイミー、ため息をついたら幸せが逃げて行っちゃうんだよ」と言いました。
 これに答えて「大人は、幸せを逃しながら生きていくものなんだよ」と言い「もちろん、逃がした分、供給する知恵もついて来る訳だけど」と続けます。
 自らにまつわる「ご縁」をそのままに受け入れていくという許容力を目覚めさせること。そして、変えるべきものと、変えることの出来ないものと、はっきり見極める知恵が大事になります。
 年齢を重ねて、ところどころが痛み機能が低下していく我が身を実感します。ある禅僧のかたが、「私たちは皆、身体不自由者の予備軍なのです」と仰いました➖だからこそ私たちの選択肢として、世間の価値に振り回されない"ほんものの生かされて生きる智慧と慈悲"を身につけてまいりたいと思います。 合掌

2021.11.19
  小さなことに 大きな愛をこめる

 マザー-テレサがノーベル平和賞を受賞された時に、人々が「なぜ、あなたのように有名な人が、インドの貧困をなくし、世界平和のために声を上げないのですか」と問われたれそうです。マザーは「私には、偉大なことはできません。私にできることは、"小さなことに大きな愛をこめることなのです”」とお答えになられました。
これは、キリスト信者の渡辺和子先生の著書『面倒だから、しよう』に紹介されていました。
相田みつをさんの詩も紹介されています。

「ほとけさまの教えとは なんですか」 
 ゆうびんやさんが困らないようにね 手紙のあて名をわかりやすく正確に書くことだよ
「なんだ、そんなあたりまえのことですか」
そうだよ そのあたりまえのことを こころをこめて 実行してゆくことだよ

開祖さまは、「よいことを まごころこめて くりかえす」と示してくださいました。
これらの言葉をかみしめてみますと、あらためて"あたりまえのこと"に心をこめていくことが"宗教を生きる"ことと気付かせていただきます。皆さまは如何でしょうか。合掌

2021.11.20
 『元気のでる晩ごはん』

 「今晩は何を食べようか❓」
ほとんどの家庭で毎日くりかえされる問いです。肉料理ーいや魚がいいか。そろそろ鍋かな- – – 等々。悩ましい⁈
 年に一度の家族の誕生日や記念日には、比較的ご馳走がでます。毎日のことを考えるのは大変なので月に一度の"わが家のご命日"を印象深い「料理日」にしてみようと考えました➖名付けて『元気のでる晩ごはん❣️』食品−料理名でないところがミソです。
 「各家ご命日」は、神仏ご先祖さまへの感謝と家族への感謝和合の日とも言えます。私は、単身赴任なので一人でご命日を迎え晩ごはんを食べることも多いのですが、「元気のでる」を考えイメージしただけで、買い物も楽しみだし当に元気がでます。子供っぽいけれど生みの両親の誕生月の12月から始めてみようと思います。
 月に一度のメリハリ効果で、なぜか、普段の日もちょっとだけ気分が上向きそうです ^_^
 ところで大谷翔平選手のMVPは、とっても嬉しいですね。大谷さんは、これまでの常識"あたりまえ"に大きな変化−飛翔をもたらしてくれました。私たちも志しは高く、足元は小さな実践をまごころ込めて積み重ねてまいりたいと思います。合掌

2021.11.23
 "法華経を生きる"人間力
  ①お布施=先手の感謝


 もうすぐお釈迦さま「成道」の12月を迎えます。開祖さまは平成8年12月ご法話の中で、「お釈迦さまは、王位継承者としての地位や財産を捨て、父母や妻子との絆も断ち切って修行を続けられ、すべての人を生かしている真理を悟られました。「大きく抛(なげう)つ者は、大きく得る」といいますが、お釈迦さまは、そうした大いなる放棄、つまりは徹底した布施によって、だれも得たことのない大いなる道を得られたのです。
そのお陰さまで、私たちは生活や肉親を放棄せずとも大いなる道を歩くことができ、最少の犠牲によって最大の幸福を得ることができるのです。」続けて、「私たちは、お釈迦さまのようにすべてを捨てる必要はありません。けれども、その精神と姿勢を受け継いで、できるかぎり、人さまのため、世のために自分を捧げるように努力したいものです。それが、お釈迦さまが示された布施の教えの実践です。その意味での「放棄」が大きくなるほど、私たちの幸せも大きくなるのです。」と述べてくださいました。
 桑野教会長さんから学林実習生として実践的に導いていただいた、私にとって重要かつ有り難い教えに、「先手の感謝」を表すことが即ち"布施"に通じると教えていただきました。
財施であれ、身施、法施であれ、既に生かされている我が身の有り難さに感謝し、せずにはおれない気持ちで"布施"をさせていただくのです。
以来、今日まで、正確には教会長となってからが"芯"が入りましたが、この気持ちを大事に実践してまいりました。とってもとってもおすすめです。 合掌

2021.11.24
 "法華経を生きる"人間力
  ②お導き=自他の信頼


 1998年5月「躍進」会長先生のご指導に、『主人が病気だとか、子どもが学校へ行かないとか、悩みを抱えた会員さんを前にすると、幹部さんたちも、そういう現実の問題を何とか解決してあげなくては、と思う。それが習慣になっているのかもしれませんね。そうした現実の問題にとりくみ「こうすれば解決するでしょう」というアドバイスも必要ですが、その人自身、自ら問題を解決していけるようなふれあいが、より大事ですね。何から何までこちらが指導して、「こうしなさい、ああしなさい」とやっていると、相手は、法を認識することができなくなってしまいます」とあります。
 このご指導で大切にしたい点は、佼成12月15ページ末尾に会長先生ご法話で、私たちが怒りや欲に負けそうになったときに、「自分のなかの仏を見つめなさい。真実の自分に帰りなさい」と諭す内なる声に耳を傾けること➖とありますように、自分の中の真実の自分(仏性)を"信頼"し、同じく相手の中の(仏性)を"信頼"して合掌礼拝の姿勢でふれあっていくことが、即ち、"法華経を生きる"人間力であり、自他を正しく導く道であると信じます。 合掌

2021.11.28
 "火(炎)の如く変化する心"

 お釈迦さまの時代"太陽"は永遠に変わらないものとして崇められました。
 一方で、身近な火(炎🔥)は時々刻々と変化するものと捉えられました。同時に、それは私たちの"心"と同様であり、さまざまなものを焼き尽くしてしまう"煩悩"にも喩えられました。火(炎🔥)が消えた状態が煩悩の消えた"涅槃"と呼ばれる所以です。
 法華経譬喩品に三車火宅の喩えがあります。私たちは、貪欲-瞋恚-愚痴の炎が身を焼き尽くしてしまう危機が迫っているにもかかわらず気付かないでいるのです。
 「唯我一人のみ能く救護を為す」とあるように仏性を開顕し、煩悩の炎🔥を鎮めて菩提心が導く真理(仏さま)の世界から世の中(現象の世界)が見れるように精進してまいりたいと思います。合掌

2021.11.29
 "ストーリーのある料理"

 以前の華だよりで"元気のでる晩ごはん"にふれました。先日NHKの番組にモデルでタレントの滝沢カレンさんが出演していて、「カレンの台所」という彼女の料理本が『料理レシピ本大賞』を受賞し、大変な人気であることを知りました。
 例えば、ロールキャベツづくりを軽快に語ったあとの"まとめの表現"
➖どの葉がいちばん男として強いかを見定めていきます。
➖キャベツ男の胸元に豚ひき肉乙女は飛び込みます。
➖結婚指輪がてらに爪楊枝をぶっ刺して離れないように誓ってもらいます。
➖式場がピチピチになるまで詰め込みます➖できあがり❗️
それぞれのコメントにほのぼのとしたイラストが添えられています。
 "はじめに"の冒頭で、「毎日食べる物だからこそ、もっともっと楽しくていい、たまには適当になっちゃっていい、たまには頑張っちゃってもいい。数字に惑わされずに、ただ自由に絵を描くように、料理をしたらいい」とあります。
 私は、このストーリーのある表現に、すべてのいのちに生かされ、生かしていく自由自在な仏性礼拝行の姿勢を感じ、大変嬉しくなりました。時には、食材と語り合い、ストーリーを描きながら料理を作ってみようと思える新たな出会いと発見です。 合掌

2021.11.30
  経験とは「わかる」こと

 富山新聞『きょうの言葉』より抜粋➖人生の途中で起こるさまざまな出来事を体験と呼ぶとしたら、その体験を通じて「分かった❗️」と感じること、それが経験だという。いろんな失敗をするから、「ああそうだったのか」とその意味を知りますーアルバイトをしていた若い頃、取引先の偉い人を激怒させたことがある。私(筆者)は青くなり、自分の失態を上司に報告した。すると上司は、「あの人はそもそも短気ですぐに怒る💢んだ」と事もなげに笑った。私は、「世の中にはいろんな人がいる」ことを、知識でなく、経験として学んだ。それ以来、会話の相手が急に激怒しても、慌てることはなくなった➖という気付きです。
 佼成12月会長先生法話15ページに➖「汝当に仏を念ずべし」という一節も、私たちが怒りや欲に負けそうになったときに、「自分のなかの仏を見つめなさい。真実の自分に帰りなさい」と諭す内なる仏からの声に耳を傾けることを教えているのでしょう➖とあります。
 ご供養で心を静める、先輩に話しを聴いてもらう、法座で出来事の意味(仏さまの私への願い)を教えていただく。こうした積み重ねがさまざまな体験を"貴重な経験"として『私のいのちの蔵の宝物』にしてくださるのだと、あらためて出来事の意味を確認する"ご縁"の大切さに気付かせていただきました。 合掌