ていねいに暮らす <佼成5月号会長先生ご法話かみしめ> 長引くコロナ禍にあって、今あらためて「丁寧(ていねい)な暮らし」が見直されています。5月の会長先生ご法話から、私は「心地よい暮らし」につながると同時に「菩薩の生活習慣」が培われることを実感しました。皆さまと共に味わい実践していきたいと思います。 ☼分別をしない 会長先生:私たちは、どのようなものごとにも意義や価値があるのに、「これは念入りに」と注意を払うものがある一方で「あれは気を抜いても大丈夫」と自分に都合のいい判断をしたものについては、心のこもらない言葉や行動となってあらわれたりするのではないでしょうか。高岡明社50周年式典の講話で東大寺の北河原長老さまが修道女・教育者として著名な渡辺和子さんの体験をお分けくださいました。▶成り立ての修道女としてアメリカで修行している時、食事当番での出来事です。ナイフやフォーク、食器をテーブルにセットするのですがある時、先輩修道女から「いま、あなたは何を考えていますか」と問われ、正直に「何も考えていません」と答えました。▶すると先輩修道女は「あなたは無駄なことをして、無駄な時間を過ごしています。なぜあなたは、そこに座って食事をする人のために、幸せな時を過ごしてほしい、美味しく食事をしてほしい、健康であってほしいと祈らないのですか」と諭されたのです。これ以来、渡辺さんは「わたくしには無駄な仕事というか、無駄な時間を過ごしての仕事は一切ありません。すべてに心を込めて、ものごとを、仕事をしています」というお話です。 ▶物事の本質を明言した道鏡慧端の言葉「一大事と申すは、今日ただいまの心なり」とあり、「それをおろそかにして翌日あることなし」と続きます。目の前のことを確実にやることが明日どうなるかを左右するという意味ですね。▶加えて「大事」には、自分の人生をつくっているのは自分ではない。神仏・家族・友人知人・さまざまな人や自然の恩恵で生かされていることを「自覚し、感謝の行動につなげる」ことが込められているようです。また、心身を調える ご供養。散歩や日光浴などのリラックスタイムもそのことに集中することが大事のようです。忙(せわ)しくあれこれ考えずに癒されましょう。 ☼他者を思うことで 会長先生:法華経の24番に登場する妙音菩薩は、菩薩としての願いにより、「縁のある人だけではなく、縁のない人まで救おう」「松明が周囲を照らすように、智慧の光で人々を 明るく照らそう」という三昧を得たとあります。▶昨年来、新型コロナウィルスの終息を願った「アマビエ」が全国的に注目されました。教会少年部スタッフのOさんは近くの森でとれる松ぼっくりを材料に手作りのカワイイ「アマビエ」をコツコツと作り続けました。目的は、このアマビエをたずさえて手取りをすることで、コロナ禍で会うことが出来にくくなった少年部の子どもたちと玄関先で短時間でも会えると願ったからでした。この取り組みは地道に波紋を広げ、手取りをする大人もこれを受けとる子どもたちも、みんなが明るい笑顔になります。 ▶さて、5月は全国教会一斉に「青年の日」が設けられています。メーンテーマは『大河の一滴になろう』です。社会の中で一人ひとりの行動は“小さな一滴”であっても、それらがやがて積み重なって確実に世界の平和につながっていくと確信し、その達成に努めるとの願いが込められています。国連で定められたSDGs(持続可能な開発目標)は貧困や格差、環境などの17分野で2030年までの達成を目指しており、法華経の「一乗精神」や「大河の一滴」の視点にも通じているので、青年の日に向けた活動の柱となっています。▶高岡教会青年部は、このSDGsを年令 問わず多くの方々に知っていただき、理解と行動につなげていただこうと教会はじめ、順番に砺波・氷見の道場に分かり易い掲示を設けることにしました。少年部・学生部・男女部・婦人部の各部が個性を発揮し、工夫を凝らして、コロナ禍でも心をつなぎ平和への行動をしようとフレッシュな汗をかいています。また、既に昨年から取り組んでいる「モザイクアートで開祖さまの笑顔をつくろう!」は11月15日の完成を目指して試行錯誤しながら、各部のリーダーを中心に話し合い、協力し合って様々な難題を乗り越え、進んでいるようです。 ▶こうした取り組みの過程では、小さな 意見の衝突もあるようですが、「他者の思いに寄り添う」出会い方を丁寧(ていねい)にくり返し、 互いに学び合い、心地よい仲間としてご縁を結び直す努力をしているようです。 ▶自他の明るい未来に向けて今なすべきことに直向きに前進する青年たちが、「菩薩のこころ」という情感と実践を育んでいると確信します。仏さまに見守られ、教えに照らされた僧伽(サンガ)って本当に有り難いですね。 合掌