教会長の言葉

「華」だより

2021.8.3
 「コロナ禍に六波羅蜜の実践」

 コロナ禍の警戒体制が本当に有効に機能するには、市民一人ひとりの自覚と実践が大切であることは、誰にも明らかなことです。
 しかし、規制と自粛が揺れ幅のある中で長期間続くことは、私たちの心身に過酷なダメージをもたらしています。更には、感染力の強い変異株が広がりを見せています。
 私たちは、何度"ここが正念場"と腹をくくれば良いのでしょうか。
 こうした苦境を乗り越える仏さまの教え、とりわけ大乗仏教、法華経が大事に説く教えは、『六波羅蜜』ではないでしょうか❗️
 初めに示される"布施"は、『すべての人間がその深いところで一体である』ことに根ざす実践です。自らを守ることは、他者を守ること。他者の痛みは、わが痛みとして感じる感性が、人さまへの言葉かけや行動につながります。
 次の"持戒"は、自分で自分をコントロールするのが基本です。国や県の規制が発出されても、あるいは、教会が様々な対策を講じても、それらを尊重し守るのは、一人ひとりの自律-自戒にかかってきます。自分を守ることが他者を守ることの、"生活習慣"をつくることにつながります。
 次の"忍辱"も、『あなたと私は、あいつとおれとは、じつは一体なのだ』という真実からの徳目です。腹立ちを腹立ちで返したら、相手も自分も傷つきます。
 以下、精進–禅定–智慧と続きますが、私たちは、今こそ『六波羅蜜』の実践によって、人として信頼される信仰者への道を異体同心となって歩んでまいりたいと思います。 合掌


2021.8.5
 「コミュニケーションの大事」

 ある本につぎのような事例が載っていました。
 新婚早々の妻は、弾んだ明るいトーンで夫を出迎えて言いました。[あら、もう帰ってきたの❣️]夫は、[早く帰れて良かった]と嬉しくなります。
 ところが、結婚15年を過ぎた妻は沈んだ暗いトーンで[あら、もう帰ってきたの]夫は、[早く帰っちゃまずいのか- – -]と思ってしまいます。
 同じ言葉を使っても、声のトーンだけで伝わり方はまったく異なってしまうのです。
 "聴く”の旁(つくり)の十の下の"四"のように見える字は、もとは"目"なんだそうです。聴は、耳だけでなく"目"も駆使して相手からの情報-感情-意図などを、五感を総動員して受け止めながら対応することのようです。聴くは、聞くよりも相手の気持ちをしっかりと受け止めるニュアンスがあるのですね。
 話しをする時の声のトーン、話しをきく時の聴き方。どちらも相手を大事に敬う布施行となり、持戒の実践となりますね。コロナ禍にあって、また、家族で過ごす時間が増えるお盆の時節、コミュニケーションを大事にする中で、お互いさま、"六波羅蜜の実践"を磨いてまいりたいと思います。  合掌 


2021.8.9
 「"初心は一仏乗"世界は一つ」

 昨夜の日本オリンピック閉会式。壮年さんの夜間法座を終えて自宅に戻り録画で見ました。全世界、ほとんどの国の人々が笑顔で一堂に会する姿は、やはり理屈抜きに感動しますね。皆さまは如何だったでしょうか⁈
 また、古代オリンピック発祥の地、ギリシャを敬う国旗の掲揚は、私たちにとって"先祖供養"と重なります。そして、閉会式の中での男女マラソンの表彰式は、友のいのちを守る約束のために42.195Kmを走り抜く我が身を捧げる行動が如何に大切なことかを象徴しているようで胸が熱くなりました。まさに、人類共通の"己れを忘れて他を利する"という菩薩行の真髄を表しているようにも思えます。自分にとって無条件で尽くす相手か居ることは、とても幸せなことですね❗️
 開祖さまは、その生涯を通じて全人類が異体同心となること。違いを乗り越えた"一仏乗=世界は一つ"をめざされました。私たちもまた、全ての人が『この現実世界に生まれて本当に良かった、有り難かった❣️』と思える社会をめざし、生老病死四苦八苦➖悲喜こもごも、どんな状況下にあっても、昨日よりも今日、今日よりも明日と急がす休まず弛みなく精進して参りたいと思います。
 次回3年後、フランスのオリンピックでは、私たちは様々な課題を通過しながら、どんな気持ちで世界を見ているでしょうか。どんな姿でいるでしょうか❓  合掌


2021.8.10
 「相手の中の仏さまの声を聴く」

 本年6月から4回、光祥さまと7人の教会長との懇談会に参加のお手配をいただきました。
 光祥さまは、『教えを"生きる"ことを大事にしている』ことが最大の気付きです。それはまた、"如何に大変なこと"かも腹に落ちました。
 何故ならば、『相手の中の仏さまの声を聴くこと』が究極となるからです。そうか、教えを生きるって相手から仏さまの声を聴くことなんだ➖文字は簡潔ですが、多くの場合、"自分が伝えたいことを相手に話している"あるいは、"教えの正解を伝えている"ことが、如何に多いことかと気付きます。
 "正解は分かっているけど、できない"➖もちかけられる相談の多くはこうした相手の気持ちと、どう"つながる"かが大事なのですね。
 『惜しみなくつながる』ことを願い、相手の方に寄り添って、相手の中の仏さまの声を聴ける仏さまの道を、皆さまと共に歩んでまいりたいと思います。 合掌