教会長の言葉

「華」だより

2021.6.18
 「失敗難儀を転じ幸運を招く力🤞」

 『セレンディピティ』という言葉をご存じでしょうか。タイトルにあるように"失敗や難儀を転じ、偶然をとらえて幸運に変える力"だそうです。
 シャープ創業者の早川徳次氏の人生もそのようでした。
シャープという社名の由来ともなるシャープペンシルを発明し、実用化しました。外国にも特許申請するほどの自信作でしたが、国内ではまったく売れなかったのです。しかし、一早く海外から大量の注文が入ったので、これを足がかりに国内でも爆発的ヒットとなりました。
 ところが、1923年の関東大震災で早川氏は自社工場も、妻と二人の子供も失ってしまいます。翌年、大阪で何とか細々と新たな事業に着手します。その年の暮れ、たまたま心斎橋の時計店でアメリカから輸入されたばかりの"鉱石ラジオ"を見かけ、[これからはラジオの時代が来る]と直感します。
 様々な困難を一つひとつ乗り越え国内初の鉱石ラジオ開発に成功し、1929年には、真空管ラジオも発売、大成功を納めます。驚くのは、テレビの開発も同時期に研究を進めていたのでした。会社の壁にテレビの配線図を貼り、将来ビジョンを社員と共有していたそうです。
 運は、"開くための下地"を共有することが大事のようです。高岡教会の青年部は、将来を見据え、教会の壁にS DGsの紹介を工夫を重ねて掲示してくれました。佼成新聞等で紹介されたばかりですが、何と昨日、ローカルテレビ局でも、その作品の一部が紹介されたのです。根底には、地味な作業と青年チームのまごころのドラマがあったことを実感します。
 開祖さまが歩まれた道も、将来を見据えてあきらめずに僧伽と共に拓いてくださった道ですね。コロナ禍にあっても、将来の家族や地域の幸せを見据え、僧伽が異体同心となって、道と運を拓いてまいりたいと思います。
 "家庭での盂蘭盆会"もその一歩となることを願っています。チラシと共に、教師の皆さまへの"メッセージとお役の心構へ"も明日19日には書類が整う予定です。ご活用ください。合掌

2021.6.19
  「一食を捧げる運動と五観の偈(hands put together)」

 6月20日版の佼成新聞1面に『一食推進全国フォーラム』開催の報告記事が掲載されています。このフォーラムでご本部から選ばれて、高岡教会の昨年の実践報告が行われました。
 社会ネットワークの塩谷さんと林原さんが10分間のビデオにまとめて発表してくださいました。ご存知のように、昨年はコロナ禍で運営が厳しくなった福祉関連の4団体にご支援をさせていただきました。大変喜ばれ、私たちもY outube配信での各団体の発表に心打たれ、学びを得ました。
 さて、この一食運動に関連して皆さまとかみしめたい食事の前に唱える"五観の偈"というものがあります。現代文でご紹介します。
一、この食事がどうしてできたかを考え、食事が調うまでの多くの人々の働きに感謝をいたします。
ニ、自分の行いが、この食を頂くに価するものであるかどうか反省します。
三、心を正しく保ち、あやまった行いを避けるために、貪瞋痴の三つの過ちを持たないことを誓います。
四、食とは良薬なのであり、身体を養い、正しい健康を得るために頂くのです。
五、今この食事を頂くのは、己の道を成し遂げるためです。

 一食を抜くことにも大変大事な意義があります。同時に、毎回食事を頂戴する時も、この五観の偈に示されるような心を大事にしていきたいと思います。  合掌

2021.6.20
 「自分が変われば 過去が変わる 開祖さまとドラえもんに倣いて」

 奥歯に鈍痛が走り、どうにも治まらないので6月1日を皮切りに歯医者さんに診て頂いています。おかげさまで順調に治療して頂ける見通しが立ちました。
 ただ、自身の過去を振り返ると"歯に申し訳ない"自分であったと後悔の念があります。
お役中心、とりわけ"歯"は痛まない限り後回しの生活でした。
 初任地の奈良教会長の頃に、私は会長先生の盟友でもあります薬師寺の安田管長(現長老)さまを慕い、ご教導を戴いてきました。安田管長が今の私の年齢の時に[私は虫歯は1本もなく全ての歯が健康です]と仰り、見事な歯並びを見せてくださいました。その10年後にお会いしても同様でした。比べなくても良いのに、今でも"すごいなぁ"と思うと同時に自分の至らなさを感じます。
 でも、高岡での発見です❣️
藤子F不二雄先生の[ドラえもん〕に登場する『のび太くん』は、設定として頭が悪い、顔がパッとしない、力が弱い、気も弱い~~と、マイナスだらけなのですね。ところが、未来から来た〔ドラえもん〕の力を借りてハラハラさせはがらもマイナスをプラスに転じていきます。
 光祥さまが"開祖さまに倣いて"に記されたように、開祖さまは、縁起観を[全ての人や出来事をよい因-よい縁と見て、それを生かす]と法華経の解釈をされたのです。
 そうすると"歯に申し訳ない"で止まるのではなく、"歯"が今日まで身を粉にして努めてくれた"おかげさま”で果たせた数々が大変有り難く尊く見えてきました。これが法華経の懺悔に通じているのかな⁈と前向きに進めそうです。
 過去の事実は変わらない、しかし、自分が縁起の教え(真理)を正しく生かして、見方、味わい方、意味づけを変えると"過去"もすばらしい宝物に変わるのですね。
 開祖さまの縁起観とドラえもんが"一つ"になりました!  合掌 

2021.6.23
  「誰にも三つの自分がある」

 近年の脳生理学の研究によって、人格の代表的な3パターンが明らかになっているようです。
①"親"的な自我状態
 世の中をよく生きていこうとする心。思いやりや共感などの理想。そして、禁止や罪悪感などの良心をつかさどる[親の心]
"してあげる"時に幸せ

②"大人"の自我状態
 主体的に根性を持って現実的に生き抜こうとする働き。創造的な営みをつかさどる[大人の心]
"できるようになる"時に幸せ

③"幼児的"自我状態
 幼児的、感情的な[子どもの心]。自己中心的で、自他が未分化の状態。一見、愛他的であるかに見えて、実は自利的である。"してもらう"時に幸せ
参考➖3つの自分で人づきあいが楽になる-杉田峰康著

①〜③は脳の働く部位が違うようでが、3つのパターンを誰もが持っており、それぞれが肯定的にも否定的にも働き、強弱もあるそうです。
そうすると、年齢や置かれた環境によっても3つのバランスが違ってくることが理解できます。家族やご縁のある相手が、今どんなバランス状態なのか?
そして、自分自身の状態を省みる機会も大事ですね。
 執われを離れて、自分や他者の生き方を理解していく参考になれば幸いです。 合掌

2021.06.24
  「朝"恵比寿” 夕"大黒"」

 このタイトルは、開祖さまがお好きな格言の一つで、よく引用くださいました。
 朝、ご主人が仕事に出かける時に、奥さんが"恵比寿顔"で見送ると、夕方旦那さまが"大黒さま"のように、恵みのいっぱい入った大きな袋を担いで帰宅する➖というお話しです。
 『笑う門には福来たる』という言葉もありますね。縁起の道理を理解すると、『自分を大切にしてほしいと願うならば、人さまを大切にする。明るさや優しさ、恵比寿顔を相手に与えてこそ、自分に恵みが与えられる』ことが納得できます。
 それでも"わかっちゃいるけど、中々実行できない、続かない"のが私たち凡人です。
 不足の思いが消えない相手だったりしますね。そんな時は、①"縁”を変えます。相手の持ち帰る"恵みの袋"を思い浮かべます。
②"力作"を変えます。ご供養や"ありがとう"などのプラスの言葉を使います。
③"相"を変えます。相手やご主人ではなく鏡を見て、口角をあげ歯を見せてください。笑顔の相です。面白くなくても、この相で見送ります➖相手は、喧嘩をしたのに笑顔で見送ってくれている、すごいなぁ➖と解釈するようです。
 大事なのは、自分が変わろうとする努力に、仏さま、大黒さまが恵みをくださるようなのです ^_^ 合掌

2021.6.25
  「対極をバランスする」

 現在放映中NHK大河ドラマの実在モデル、近代日本繁栄の礎を築いた"渋沢栄一翁"は、『対極をバランスする』という思考法の実践を大事にされました。それは同時に、『純粋な一つの価値観では世界を包みこむことができない』ことを痛感しておられたからとも言えます。

 寛容でありながら、厳しい一面がある。
 柔和でありながら、芯が通っている。
 慎重でありながら、ものごとの処理が機敏。
 有能でありながら、相手を見下さない。
 従順でありながら、意志が強い。
 直情でありながら、心は温かい。
 大まかでありながら、筋を通す。
 決断力に富みながら、思慮深い。
 行動力がありながら、善悪のケジメはわきまえている。
 儒教の文献"五経"の一つ[書経]に示されたものです。(参考➖NHKテキスト)

 渋沢翁は69才を迎えて、対極をバランスするキーワードを『論語とソロバン』と提唱されました。
 開祖さまは、ともすると対立してしまう宗教界に宗教協力という潮流を成し遂げてくださいました。それは、法華経に説かれる"一仏乗"の精神"みんな違ってみんな良い”を、不惜身命の行動力と、僧伽への信頼と異体同心の信心で導いてくださったのでした。
 私たちは両師に倣い、異なる価値観に目くじらを立てるのではなく、互いに拝み合い、バランスがとれる道をさぐり、大きく包みこんでいけるような信仰生活を目指したいと思います。
 今、コロナ禍にあって、一層大事な目標となっているのではないでしょうか⁉️ 合掌

2021.6.28
  「心の中に佐渡島をつくれ」

 タイトルは、京セラ元会長"伊藤謙介"氏が大事にされた格言です。
 流刑の地"佐渡島"にはたくさんの人が流されました。大変厳しい環境の中、"日蓮御聖人"は[観心本尊抄]など名著を記し、能の"世阿弥"は能楽を世界的な文化に高めるほどの深みをもたらし大成しました。逃げ場のない流刑生活にあって、後に引かず、自身を高め、孤独ではなく人々の救いを念じ世間とつながって、後世に残る偉業を成し遂げたのです。
 私たちは、佐渡島に流されなくても、貧病争や愛する方との別れなど辛く難儀な状況に直面することがあります。現在のコロナ禍もその一つでしょう。こうした局面で、佐渡島での日蓮御聖人や世阿弥の身の処し方に学び、置かれた場所で前進していきたいものです。"仏法僧への信と現象に振り回されない芯"を拠り所として、"一人じゃない"努力精進をしてまいりたいと思います。 合掌

2021.6.30
  「人とつながる"勇気"を育む」

 『対人関係は、悩みの源泉ですが、生きる喜びや幸せは、対人関係の中に入っていかないと得ることはできません』これは心理学者アドラーの言葉です。
 私たち立正佼成会は[惜しみなくつながる]を教団100年に向けたテーマとしていますね。
 ところが、コロナ禍は人と人とのつながりを、より難しいものにしています。ただ、よく考えてみると、NHKが"無縁社会"という番組を放映したように、コロナ以前から私たちの現代社会は、対人関係のつながりが希薄になっていたのです。
 リモートで開催された壮年総会で講師のキリスト教−奥田牧師が『昨年、自死で亡くなられた方は、コロナ感染で亡くなられた方の3倍おられたこと、特に青少年が増えていること』を示されました。残念ながら"不登校、引きこもり、いじめ"という状況も日常的に耳にします。
 こうした中、たとえリモートであっても、佼成会の青年部において、一歩一歩"つながる"努力が続けられています。
[青年の日]もその一つでしたし、各部やリーダーの教育も、徐々に成果を上げています。
 こうした一貫で本日皆さまにお知らせしたいのが北陸支教区"あつまれ高校生〜オンラインの集い"です。
支教区の教務員さんから頂戴したご案内を添付します。
7月25日午後開催。申し込み締め切りは7月10日のようです。締め切り延長を相談中!
 学生部の皆さんが声かけをしてくれるご縁も大事でありますが、同時に、私たち親の世代も、子どもや孫の背中を押してあげることが、"惜しみなくつながる"こと、そして、支部家族-教会家族として異体同心の前進につながります。
 高校生が"つながる"ことに自ら一歩踏み出す"勇気"が持てるよう皆さまのご理解とご協力をお願い申し上げます。合掌
 *学生部の案内兼申込書は、教会、砺波道場、氷見法座所に置いてあります。