正月こそ心と生活を省みて新たな一歩を踏み出そう 「豊かな不安社会」の中で 仏さまの教えに結縁する大事ーいつでも すぐに 喜びに 令和3年寒中読誦修行にあたり「心がまえ」として以下の二点を掲げました。 1.寒さ厳しい中、心身を「凛(りん)」とする。〔参考〕ゆでガエルの実験 カエルを水風呂に放つと、カエルは気持ちよく泳ぎます。そこで、風呂の下から火をつけ温まってくると、カエルはだんだんイライラしますが風呂から出ようとまではしません。やがて、もっと熱くなるのですが、カエルは、もう飛び出したくても足の力も気力も衰え自滅、「ゆでガエル」になってしまいます。 これは人間が欲望に振り回されるさまを譬えています。 始めはちょっと欲しがっただけなのに、やがて、際限なく「あれほしい、これほしい」と欲が膨らみ、望んだものが手に入らないとストレスを溜め、やがて心や身体を壊したり、人間関係に亀裂を起こしたりと自分で自分を自滅させてしまいます。 野放図に欲を膨(ふく)らませるの意味の楽(ラク)は“ダ(*)ラク”に引き寄せられるようです。開祖さまは、大寒から節分に向かうこの期間にこそ、寒修行を通じて私たちの心身を「凛」とし、シャキッと整わせていくことのお手配をしてくださいました。 2.法華経を身で読む 立正佼成会の草創期、かつての修行の中で、神秘的、特殊な呪術的能力を尊ぶ一部の傾向も見られました。開祖さまは、「法華経を真剣に読誦し、その教えを身に行なうことで真に救われていく」ことが大事とし、その実行力を育む柱として、年の初めにこの寒中読誦修行を始められたと伺っています。 そして、『即是道場』は、家庭や職場など、この教えが正しく行われているところは、どこであっても「道場」であることを示します。私たちは、家庭であれ、サンガと出会う場であれ、信仰生活の基本となるご供養・法座・手取り導きに精進したいものです。 また、繰り返し会長先生から示して頂く、「三つの実践」すなわち、気持ちの良い挨拶、爽やかな「はい」という返事。靴(イス)を揃える…こうした身近な実践が、自分も人さまも喜びとなるように磨きをかけたいものです。「寒中読誦修行」は、こうした信心を養うきっかけとなり、特効薬となることでありましょう。 令和3年も日本と世界は新型コロナウイルスの感染拡大が、人々の価値観や生活スタイルに甚大な影響を及ぼしています。会長先生は、佼成2月号で「人に喜ばれる生き方を心がけ、みんなが仲良く生きる世界を築く一人ひとりになる」ことの大事をご法話くださいました。お互いさま、わが身を省み、新たな一歩を踏み出してまいりましょう。 令和3年1月吉日〔法灯継承30年の正月〕 高岡教会長 荒川公男